「技術記事を書く技術」は創作活動の本質本
Twitterを見ていたら「技術記事を書く技術」という本が話題になっており、タイトルが気になったので読んだ。
Amazon.co.jp: 技術記事を書く技術 ITエンジニアの価値を高めるアウトプットのすべて : 伊藤 淳一: 本
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アウトプットしたい欲求がどこかから湧いてきたので、本書の良いところと感想を書いていく。
執筆する過程で発生する疑問を極力取り除いている
私は本書から、「技術記事を書くハードルを限界まで下げて、誰でも書けるようにしたい」という気概を感じた。なぜなら本書には、「誰でも少し調べたらすぐわかること」すら省略されずに丁寧に書かれているからだ。これには例えば以下のような要素がある。
- マークダウンの書き方
- Qiitaでの投稿のやり方
- 引用の書き方
- 下調べのやり方
上記の要素は、少し調べればすぐわかることである。しかし、調べようとすればしばしば執筆の手が止まる。その結果「技術記事を書くのって、考えることが多くてめんどくさいな」と思ってしまうかもしれない。
著者はおそらくそれを懸念し、技術記事を書きだしてから投稿するまでに発生する、あらゆる疑問をこの本で可能なかぎり取り除いて、「とにかく自力で記事を1本書くことだけに集中してもらおう」と考えたのではないか。
私も初めて技術記事を書いた時は、どこに何をどう書いたら良いかさっぱりわからず、右往左往した記憶がある。そのため、このように技術記事を1本書き上げるまでの導線が親切丁寧に用意されている本書は、それだけでもかなり読む価値があると思う。
生成AIに頼りきりにならないようにする
本書では、生成AIを活用した執筆テクニックについてはほぼ登場しない。その理由として、著者は以下のように述べている。
なぜ生成AIの役割を補助的にとどめているのかというと、生成AIに頼り切った執筆よりも、自分の頭で考え、自分の言葉で書くプロセスそのものこそが、エンジニアの成長に必要不可欠な要素であると筆者が信じているためです。
本書は、読者が技術記事の執筆を通して、アウトプットする習慣を身につけたり、ITエンジニアとして成長することを期待しているように見える。そのため、生成AIに記事を丸ごと書かせるようなテクニックは出てこない。(自分の文章表現が適切かどうかを添削してもらう、ぐらいの利用については推奨している)
でも生成AIに書かせた方が、一定の読みやすさと品質が担保されるのでは
この問いについて、著者は巻末のコラムで以下のように述べている
- 教科書的な内容の記事を書くだけならば、たしかに生成AIは強い
- しかし、執筆者自身の経験に基づいた話は、本人にしか書けないし、そういう話の方が読んでても面白い
私も、生成AIが丸ごと書いたような記事はあんまり読む気がしないので、この考えには同意するし、同じ考えの人が増えてほしいと思う。
技術記事の執筆に関する周辺情報が豊富
本書には、ただ技術記事の執筆の仕方について書かれているだけでなく、「技術記事を書く」という活動を行う過程で発生する、副次的な要素にも細かく書かれている。例えば以下のような点がある。
- どんなアカウント名、プロフィール、自画像にしたら良いか
- 記事のネタを見つける方法
- 正しい情報を正しくつたえる方法
- 良いサンプルコードの書き方
- hoge.comとか適当なドメインを使うな
- 公開する技術(SNSに投稿するときのお作法など)
- 記事への反応と向きあう方法
- 反応がなかった場合
- マサカリが飛んできた場合
- バズったら何が起こるのか
- 炎上を避ける方法
- アウトプットを習慣化する方法
これらの知識やテクニックは、技術記事を執筆する上では知らなくてもそこまで困らないことではあると思う。しかし、このような周辺情報を理解しておくことによって、「技術記事を執筆する」という行為そのものへの解像度が上がり、執筆を継続する意識を高められると感じたため、これらの情報が本書に書かれているのは非常にありがたい。
また、このあたりの知識やテクニックは、技術記事の執筆だけでなく、あらゆる創作活動に活きるものだと思った。成果物の品質を上げる方法や、その成果物のアピールの広め方などは知っていると様々な場面で役立つだろう。
もしかしたら本書は、「技術記事を書くための入門書」であると同時に「創作活動の本質本」なのかもしれない。
まとめ
「技術記事を書く技術」には、技術記事を書くのに必要なありとあらゆる情報が揃っているため、読んだらすぐにでも技術記事を書き始められると思う。また、特に小難しいことは書かれておらず、一気に読める。技術書を書いたことがあるか、執筆に少しでも興味がある人はぜひ読んでみてほしい。
おまけ
WIIFY(What’s in it for you?)という概念を本書で知った。語感がWi-Fiと似てるなぁ。